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執筆者の写真カトウ

だって100歳なんだもん


なずは今月で14歳になり


いまだに散歩中は走りたがるし

階段も駆け上がる


大型犬の14歳は、人間でいうと95~105歳くらい


あまりの健脚ぶりについ

シニア犬だということを忘れてしまう



今月初め頃、急に歩けなくなった


前脚の、人間でいうと膝のような場所が

炎症を起こしていた



散歩の途中、びくともしなくなった


そのときの写真


穏やかそうに見えるけれど、脚には激痛



抱っこして家に帰ろうとした


でも、なずは抱っこを嫌がった



その日は、10分もあれば帰れる道のりを

1時間以上かけて帰った


日は暮れて真っ暗になり

そんな中、家までの道のり、泣いた



40歳を過ぎたあたりから

悲しくて泣く、ということがなくなっていた


もう自分は

そういう理由で泣くこともないのでは

とさえ思っていた



ただただ、悲しかった




言葉を持たない動物


「急に動かなくなった」と人間が思ったとしても


多分、本当は急なんかじゃなくて


痛かったり、具合悪かったりしても

なんとかかんとか、動いていただけ


それに、人間が気付けなかっただけ


自分は、言葉を持たない生きものを

あなどっていたのかもしれない



獣医さんにかかった後も、なずはしばらく寝込んでいた


家族全員、口数が減った


なずの声や足音が聞こえない毎日は

想像以上に真っ暗で


なずが普段いかに猛烈な光を放っていたのかを


家族のそれぞれが身に染みて感じた




でも、止まってなどいられない


人間が、私たちが動かないと




脚関節の負担が軽くなるよう


床を滑らない素材で覆い


セッターは足の裏にも長い毛が生えるから


滑らないよう足裏の毛と爪をカットしてもらい

今はびっこも治って、しゃんしゃん歩いている



ただ、炎症止めの薬は腎臓に負担をかける



その後、今は別の症状が出ていて

シニア犬の介護、そういう段階に入っていて



だって、100歳なんだもん



なずが動いてくれるようになった今

介護の覚悟も定まった


生きていてこれほど

床拭きや洗濯が苦でなく思えたことがない



存在に感謝し、喜んでやる

家族みんなが、それを知った



だけど、悲しいものは悲しく

辛いものは辛い


介護自体が皆初めて経験するのだから


わからないから

そういう気持ちになるのも当たり前で



今は「大好きだよ」と「悲しい」が混じった

複雑な心境



ものは考えようだけど

今感じている素直な気持ちを抑えたくはない


この経験もきっとかけがえのないもの



生きながら

なずは大事なことを教えてくれている




今後、お客さまには

少し時間をずらしていただいたりするかもしれず


そして、なずのお出迎えも

調子のいいときは、というかんじで



どうぞ、よろしくお願いします

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