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  • 執筆者の写真カトウ

「仲良し」のかたち



※このお話は前世退行セッションを元にしたフィクションです



いい年になったけれど

いまだに父との意思の疎通が難しい


子どもの頃は父から暴力を受けて育ち

独身の頃は仲が悪かった

でも嫁いでからは普通に話せるようになった


父は、大事な話になると仕切りたがり

いつまでたってもこちらは子ども扱い

そういう一方通行な関係が腹立たしい


最近なぜか

「助けて」という言葉が突然脳裏に浮かぶ


一体、何の助けを求めているのか


 

真っ暗な中

スポットライトに照らされて

少女が一人、膝を抱えて座っていた


薄汚れた寝巻のようなワンピース

セミロングの茶色い髪

見たことのない西洋の子


少女は怯え、警戒している


何も話さないけど

「助けて」という言葉の主は多分この子



広大な牧野

端が見えないほど延々と柵が続いている

緑が光り、色鮮やかで美しい景色が広がっている


それを眺めているのはさっきの少女

虚ろな表情、心が動いていない感じ


家にいたくない

彼女はそう思っていた


木こりの家に生まれ、暮らしは貧しい


父と母との三人暮らし

母親は病気で横になっていて

父親は神経質、いつもピリピリしている


私は牧野で働いたり

家の手伝いや看病もしている


看病したけど、お母さん死んじゃった

お父さんと森にお母さんを埋めた


その後お父さん、嘆いて荒れている

お母さんが死んだのは自分のせいだと

思っているのかもしれない


何日経ってもお父さんの機嫌がなおらず

私も泣きたいけど、泣けずにいた


そのうちお父さんは

暴言や暴力も振るうようになった


ひとしきり殴られ、家を出る

でも行くところがないから、また家に帰る


ぽつんと離れたところにある一軒家

私が殴られていることは誰も知らない


誰も助けてくれないし

自分が行っていい場所が他にない

村の人たちは皆ギリギリの生活をしている


そして12歳くらいのとき

暴力が過ぎて死んでしまった


心の中で「助けて」と叫んだけど

その言葉は声にならなかった


ひとたび殴る蹴るが始まれば

私はもう人ではない

サンドバッグみたいなもの


散々踏みつけられ、無惨な見た目

その体に向かってお父さんは叫んでいる

「お前が悪い」

「お前が俺を怒らせた」って



私は何のために生まれてきたんだろう

無意味だったのか


ずっと思っていたのは

家族みんなで仲良くしたいということ


美しいものを美しいと思って生きていて

それをみんなで共有したかった


お父さん、いつも虫の居所が悪いけど

いつかきっと笑ってくれるって思ってた


でも、そうならなかった


急に怒鳴るの、びっくりするし

痛くて怖いの、始まると止まらない


誰かに助けてほしかったけど

私が悪いんだって

だから誰も助けてくれない


お父さんと仲良くできなかったことが悲しかった


一生懸命考えたのは

どうしたらお父さんがご機嫌になるか


あとは、どうやったら家を出られるか



もしかしたら、私は悪くないのかも


真っ直ぐ、地球の果てまで逃げたってよかったのかも


そしたら、誰か助けてくれたかも


だけどもし生まれ変わったら

次こそは家族みんなと仲良くしたい




 


《セッション後/42歳 女性》


「助けて」と1日に何度も脳裏に浮かぶようになり「自分は病気なんじゃないか」と精神科に行くことも考えましたが、先にヒプノセラピーを受けてみて本当に良かったです

1ヶ月経ちますが「助けて」はなくなりました


私は「父とどうにか仲良くしよう」と、ずっと思っていたようです


女の子の「仲良くしたい」という気持ちは、とても尊く掛値のないもので、私が父に腹が立っていたのは多分「仲良くしたいのに何で?」という愛情の裏返しだったんだなと後から思いました


前世の女の子が思っていた仲良しの形と、今の親子関係は程遠いかもしれませんが、今のあの感じが父の限界であり、父の精一杯の頑張りなのかもしれず


だから今は「百歩譲った仲良し」という形がベストで、今のこの形でいいのだと思いました


兄妹とは元々仲良くできていたので、できている分も疎かにせず大事にしていきたいです

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