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  • 執筆者の写真カトウ

全て思うようになるならば、この世はいらない・その2

更新日:2022年12月2日



※この物語は実際のサブパーソナリティセッションを元にしたフィクションです




朝方、眠りの中


夢を見ていたのか、なんなのか



「待って」という男性の大きな声が聞こえ


あまりにもクリアな音に驚いて目が覚めた



誰の声だったのか


何を「待って」なのか


何が言いたかったのか



 


山の中、雪が降っていて、寒い


周りは雪で真っ白、他に何も見えず、悲しい


酷い雪、同じ景色が続く中、迷っている



もう一つ、別な景色が見えてきた


湖のほとり、穏やかな景色を眺める若い男性




そして、前世のお坊さんの言葉が響く


聞こえているような、そうでないような


でも、言葉は感じている





私は、この者と共にある者



この湖も雪山も

この者の心の中を表している


湖の水は

ずっと前からこの者の心の中にある悲しみ



常に世の平和を思い、世の中に傷つき

悩み苦しみ流す涙



それがどんどん量(かさ)を増し


心が冷えれば、空気も凍えて冬になる


そして、水は雪へと変わる



雪はとても冷たく、心が痛む


冷えれば冷えるほど雪も増え


そして、冷たい世界に閉ざされてしまう


雪山はそれを表している


「これ以上、心を凍らせてはいけない」

その象徴



この身一つで世に尽くすには、限りがある


いかに高い志を抱いていても、無力さを感じるあまり


世の中に溢れる多くの悲しみを救うことは容易ではなく


だから、いつも心を痛め不安がつのる



悲しみを内に溜め続ければ


己の内側で大きく溢れ心を冷やし、身を滅ぼす



この世に生を受けたからには


自らの力でそれを終わらせてはいけない


だから、悲しみを内側に止め過ぎてはいけない



この者は、常に生きることの難しさを抱え


「己がこの世から消えてしまえば楽になるのではないか」と思っている


けれどそれは、本心から望んではいけない



生きることは苦難ばかり


己ではどうしようもないことも多々あるが


それに負けてはいけない



ただ「負けることはない」と言い切れないのが“人間”


私はそれを死という形を以て、「世のため」という理由で実行した身


しかしその選択は、多くの後悔が残った



だから、同じ轍を踏んではいけない


自ら、いなくなってはいけない


自らの歩みを止めてはならない



それがいかに悲しいことか


この者はよくわかっている



私と相反する感情を持つ、もう一つの心の内の存在は


ずっと「私なんかいなくなればいいのに」と苦しみ


この者がいなくなることを選択しない限り、傷つき続ける



ただ、その苦しみも、自己を成長させていくため、実は重要なもの


偏った片側だけの感情のみでは、危ういこともある


相反する思いを抱えながら歩むことも、頂いた命を生かしていくため必要な行(ぎょう)



「いなくなればいい」をなくすことは、とても難しい


それも含めて、この者の越えるべき歩み


辛く悲しみに溢れた世を生き抜くのも、私たちの修行



そして、どのような形であれ、「必ず私の言葉を届ける」と、この者と約束した


常に申している

「いつも共にある」「一人ではない」と


悲しみを分かち合えるものが内側にいると、どうか信じ続けてほしい



不安がってばかりいれば、その涙で溺れ


見えるのもは見えなくなり


聞こえるはずのものも聞こえなくなり


そして、私の声も届かなくなる



だから「共に歩む」と交わした約束を、どうか“守り”として受け取ってほしい


私の言葉が、少しでもあなたを守る力になるよう、何度でも伝える



いずれ人は、役目を終えるときが必ず来る


そのとき「いなくなればいい」と言う、その存在の願いも叶う



二つの相反する思いの中


生きる辛さも、そこにある喜びも感じてほしいと願っている



また、いつも「ごめんなさい」と謝るが


私に対して謝る必要はないと、常に言っているはず


そのように悲しみに暮れているとまた、心が冷たくなってしまう



それは、私にとっても悲しいこと



この者は私であり、私はこの者である


必要以上に悲しみ、これ以上傷ついてほしくはない


私にも、その痛みが伝わってくる



「あまりにも自分を責めすぎるから、責めることはない」と言いたい


ただでさえ、いつも世の中に心を痛めているのだから



そして、悲しみを感じたときは、思うだけでなく言葉に出しなさい


悲しいことを見聞きして辛いとき「辛い」「どうしたらいいか」と


そうすることで、私に伝わる


言葉にしなければ、無意識の中に仕舞われてしまう



共に分け合い、二人でできることを考えていくという


そのような約束で、いいだろうか



あと、私は少し怒っている


私のことを時折疑い、傍にいるかどうかを不安に思っている


何回言ったらわかるのか


なかなか他者から理解されない生きかたとは思うが


私とあなたが納得していれば、それで十分ではないか



あと、一つだけ


全部つまってから声に出すのでなく、もっと私を頼りにして



あまりにも一人で悩むので、何か言葉を送ろうと考えあぐねていた


伝える手段は様々あるが、受け止める側が「受け止めよう」と思わなければ伝わらない



だから、あの日は夢で声をかけた


少し強引かとは思ったけれど、少し腹も立っていたので驚かせて差し上げた


でも、必ず伝わると信じていた



本当によく頑張っている


それを自分では認めたがらない、本当に手がかかる子です



これもまた修行であり、生きるということであり


全て思うようになっていれば、この世は要らないのです



それを望んで生まれてきているはず


だから大丈夫、この先ずっと私がいると、それを伝えたかった



 


《クライアント Eさんより》


「今の私なんかいなくなればいい」というメッセージから約2ヶ月、全くその通りだと同感する事しか出来ず悩んでいましたが、共感だけでも一つの答えなのだと腑に落ちる事が出来ました。


また「いなくなればいい(死)」と「生き抜く(約束したこと)」の両極端な二つの考えを持つ状態にどうしたらいいのか迷子になっていた部分も、魂の相棒が答えを導いてくれました。


偏り過ぎず、両方を抱えながらその間を模索する。


恐らく私の世の中への不安や「自分さえいなくなればいい」という思考は消えません。


世界中の不安要素ばかりにアンテナが働き、同じように身近なところでの争いや良くない出来事にも心を擦り減らす日々です。


それはやはり、世の平安を願う前世からの傾向であり、私と彼の『死にたくない願望』ゆえなのだと理解しています。


けれど、悲しみや不安ばかりで自分自身の心まで冷たく凍らせてはいけない、共にある、と何度も何度も言われたので、肝に銘じます。


本当に、誰よりも信頼出来る相棒の優しさに感謝しかありません。

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