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執筆者の写真カトウ

身を置く場所を探して

更新日:2021年3月30日


※この物語は前世退行セッションを元にしたフィクションです



家事をしない母と暮らしている


いい加減な親を見て育ち

だからそうなってしまったのか


どこか疑心暗鬼で人を信用できず

先々起こることを想定し、石橋を叩いて渡る癖がついた


心配性で潔癖症、白黒はっきりつけないと気が済まず

ときにそれが暴走する


自分は、どう生きていくんだろう

ここが私のいる場所なのか

ここにいるけど、ここが合っているのか

だからといって、他の場所など多分ない


身の置き場のない感覚が、つきまとう


 

昔の西洋、電気もなく、移動手段は馬

金の装飾のついた赤い服を着た男たちが

戦地に赴いて行く、そんな時代


「家から出ようかな」


悲しそうな顔をした10代後半の女の子が

お屋敷の食堂に立っていた

寄りかかっている家具には立派な葡萄の彫刻

彼女の家は裕福だった


どうしても、父に近づきたくない

私を誰かと結婚させようとしているから


母は、兄が戦争に行くのを止めもしない

行ったら死ぬとわかっているのに

本当は悲しいのに

守ってあげればいいのに

何も言えない、弱虫な人


使用人たちも家族も、皆仲が良くない

家の雰囲気、悪い


誰も自由じゃない

お金、なくてもいいから自由にさせてほしい

食べて寝るだけの毎日が退屈だった

着飾る以外、何もやることがない


その後、嫁いだけれど

程なく自分の実家は傾いた


だから、嫁ぎ先の人たちは私が邪魔になった

大事にしてくれていたのに、手の平を返し

「どう始末しようか」と話し合っている


そして城から遠く離れた山の中

一人、小屋に置いて行かれた


馬車から降りたとき、夫の兄弟が言った

「命は助かる でも何もしてあげられない ごめんね」


全てお膳立てされて生きてきたから

外の歩きかたも、料理の仕かたもわからない

自分のことなど、何一つできない


それなのに、このタイミングで身籠っていた


暗闇の中、自分の居場所を探す

でも、どんなに探しても

ここは自分の居場所ではない


目の前の現実は真っ暗

そして、今いる世界は灰色


やがて陣痛がきたけれど

どうやって産めばいいのか


そして痛みの中、女性は息を引き取った


綺麗な服を着て、人形みたいに生きた

お金はあれど、自分で何かを選ぶということもなく


恋をするとか

夫婦になるとか

子どもを持つとか

ご飯を作るとか


そういう普通のことができなかった


「何もない」

「何も持っていない自分」


その無念を思い出した

だからもう、この感覚は捨てよう



そして今生は

当時のままの心で生まれてきた


今の悩みは

私のお母さんが、母親の仕事をしないこと

でも、これでいいんだ


今は自分がご飯を作っているけれど

これは前世でやれなかったこと

だから、喜んでやろう


「あとは、言わなくてもわかるでしょ?」


そう言って、女性はうっすら笑顔を見せた

「もう心配はない」

そう言っているみたいな表情だった

 

セッション後

前世の人物の中に今生のご兄弟がいたことや

今の人生で執着していること

お金のない家に生まれた理由など

依頼者さんご本人が気づいたことを、たくさんお話して下さいました


前世の女性が

「言わなくてもわかる」と言っていましたね


ご本人が思ってきたことも

やってきたことも

実はそのすべてが自分の正解であり

答えであり


それは魂の計画を無意識にやってきたのか

それともただの偶然か


なんだかんだで、ちゃんとご本人の

”生きる流れに沿った生きかた”を

ずっとやってこれたんじゃないかな


だから「自信をもってね」


と、それだけ言わせてください(^^)

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