top of page

フリー・ステージ

  • カトウ
  • 2016年10月1日
  • 読了時間: 3分

※この物語は前世退行、胎内退行を元にしたフィクションです。

昔、ドーバー海峡あたりで起きた出来事。

ドレスの裾を両手で持ち上げ、砂浜をハイヒールで歩く女性がいた。

金色の長い髪をボリュームいっぱいに編み込み、豪華なアクセサリーを身につけている。

イヤだ。

全部取りたい。

全部脱ぎたい。

帰りたい。

馬車を降り、プリプリ怒りながら歩いた。

お付きの人も一緒に数人、歩いている。

海岸沿いの崖の上にはお城がある。

そこに行く途中だったけど、引き返した。

結婚なんか、したくない。

私は、貴族の家に一人娘として生まれた。

歳は10代半ば。

大きな屋敷に住み、お手伝いさんやお給仕さんもいる。

母親に対して、不平不満がたくさんある。

だからいつもイライラして、怒ってばかりいた。

周囲から見たら多分、私は超ワガママお嬢様。

要望があっても聞いてもらえず、いつも私の意見は通らない。

どんなに話しても、親に私の思いは伝わらない。

同じ屋敷に住む親なのに、心の距離を感じていた。

「嫁ぎなさい」と言われた。

親同士で決めた結婚をさせられる。

相手は私の知らない人なのに。

私は、どうしたらいいの?

怒りと悲しみに満ちたこの感情、ぶつけどころがない。

我慢して、嫁ぎ先に向かう馬車に乗った。

でも、崖の上のお城が目に入ったとき、思った。

やっぱりイヤだ。

家に帰る。

だから馬車から降りて、来た道を戻った。

どうしてわかってくれないの?

こんなにイヤなのに。

こんなに耐えているのに。

私には私の意思があるのに。

生活は豊かで地位もあるけれど、やりたいことも発言も、自由に選ぶことを許されない。

そして、自分の部屋のソファの上、自分の胸をナイフで刺した。

これほどまでに私が「イヤだ」と思っていたということを

死をもって、お母さんに伝えたかった。

後から思えば、もっとじゃじゃ馬になって、親を困らせたって良かったのかもしれない。

次は、自力で好きな人を探そう。

思いを伝えられなかった人がいた。

男性の給仕さんのことが気になっていたけれど。

次の人生では、我慢してやれなかったこと、自分の好きなことをしよう。

そして、もっと素直になろう。

景色が変わった。

今度は、別の母親のお腹の中にいる。

ここはピンク色で明るくて、あったかい。

お母さん、検診に来てる。

私が生まれてくるのを楽しみにしているみたい。

今度は、とっても無邪気なお母さんを選んだ。

だって、一緒にお茶を飲んだり、キャッキャしたいもの。

前のお母さんは、そんなふうにできる人じゃなかったし。

お父さんも、あったかくて優しい人だし。

ここまで、いっぱい学んできた。

学んだことを怖れずに実践していけば、きっと抱えてきた問題は全部クリアできる。

これから私は自由を手に入れるんだ。

いろんなこと、したいな。

今度生まれるのは、誰のためでもない、自分のため!

よ~し!! 行くぞ~!!

bottom of page