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カトウ

自分の中の自分・その2【卑怯者という思い過ごし】


※この物語は前世退行セッションを元にしたフィクションです。

受験も就職も、頑張ったけど敗北してきた。

それができなかった自分に価値を見い出せない。

何でも「勝ち・負け」や「敵・味方」で判断してしまう。

自分に相応しい生きかたって、何だろう。

時間が逆に戻り

古い時代、弥生の日本。

仲間たちから「ぼう」と呼ばれる男がいた。

狩りが得意で、いつも一人で山に行く。

山ではウサギやキジなど、小動物を狩る。

獲物は家族や仲間たちと分け合い食べる。

小さな村で生まれ育った。

藁でできた家は中も藁敷きで、家族や仲間たちが思い思いのことをしてくつろいでいる。

みんな平等、みんなが自分にとって大事な仲間。

自分、仲間、家、すべてがそこにあることが当たり前だと思っていた。

ある日、その土地を治めている王さまに呼ばれた。

「働かないか」と言われ、護衛の仕事をすることになった。

自分だけが王さまにひき立てられた。

大きいお城で働くことができて、誇らしい。

だけど村の仲間たちが、恨みがましい目で自分を見るようになった。

皆、文句を言うわけでもなく、冷たい目で見るし、口もきいてくれない。

仲が良かったのに、ショックだった。

暫くして王さまが

「お前はよく働いてくれる」

「相応しい女性を連れてきたから結婚しろ」

と言った。

目の前には美しく、生まれの良い女性がいる。

自分にはもったいないくらいの人。

その女性と結婚し、子どもも二人授かった。

自分は豊かに、幸せに暮らす。

だけど、村はそうではなかった。

村の仲間たちのことを、王さまは良く思っていなかった。

村の生活は厳しくなっていった。

どんどん村が廃れていくのが、お城から見える。

自分は、結果的に仲間を見捨て、自分の幸せを優先した。

華やかな生活を送りながら、村のことが心の隅でくすぶる。

後ろめたい思い、この気持ちは一生消えない。

やがて老人になり、体力もなくなった。

お迎えを待ちながらお城の部屋で寝ていたけれど、最後にどうしても村が見たくなった。

居ても立ってもいられず、村まで歩いて行った。

村に着くと、住んでいた家は朽ち果て、中にはかつての仲間の骸骨が散らばっていた。

結局みんな餓死して、村は滅びた。

朽ちた家の中、自分は倒れるようにしてお迎えを待った。

王さまやお城の暮らしに憧れて

やってみたら、やっぱりそういう暮らしが好きで

でも、結局は欲に負けた。

王さまの話を断って、村に住み続ければよかった。

お迎えがきた。

光りに包まれ、空の高いところに昇っていった。

高い空から見下ろすと、その人生のすべてが見えた。

王さまにひき立てられたことを「恨まれている」と思っていたのは

実は、自分の思い過ごしだった。

勝手に「恨まれてる」と思って、自分が仲間を無視していた。

名誉に思って堂々としていればいいものを

思い過ごしで人を怖がり、変に勘ぐったせいで、仲間との距離ができてしまった。

立場的に「村を豊かにして下さい」と、王さまに言うことだってできたのに。

《以下、ぼうさんからのメッセージ》

今、働かずに養ってもらっている状況を後ろめたく思い

「周りに馬鹿にされてる」

「親のスネをかじってる」

「親戚も、心の底では自分を馬鹿にしてる」

と、常に思って生きている。

そうして、その人たちを無視したり、やり返そうとしたりしている。

でも実は、人はそこまであなたのことを考えてない。

世の中の全員が仕事して生きているわけじゃない。

働いていない人もいて、たまたま自分もそうなだけ。

働こうとしたけどダメだった。

そして、「馬鹿にされてる」と思ってる。

その考え方をし続けたら、結局オレと同じ間違いをすることになるんだよ。

人間は誰でも、贅沢できるならしたいと思うもの。

それは自然なことだから、もし今、贅沢をしているなら、それを周りに分けてやればいい。

そうすれば、後ろめたさも感じず、みんな平等でいられる。

別に、お前は悪い人間じゃない。

普通の人間。

「自分だけが特別」とか、「卑怯者」と思わなくたっていいんだよ。

ぼうさん、満足そうな顔してる。

教えてくれてありがとう。

自分の魂にあったいろいろなこと知って、腑に落ちた。

自分の中の「思い過ごし」、これからは意識をしていこう。

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