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カトウ

あきらめと縛り


※この物語は前世退行セッションをを元にしたフィクションです。

若いうちから自分の意思で動いている人たちを見ると

モヤっとした気持ちになる。

「こうしたいと思ったから、こうしている」

若い頃、自分はそうじゃなかった。

そういう選択肢が自分にはなかった。

あったとしても、真っ先に親に反対されただろう。

生きながら、人と比べる癖がついた。

比べられたくなかったけど、比べられて育った。

自分の意思で動く人は皆、キラキラしている。

それを羨む気持ちが、自分の中にあった。

***************

カラフルな建物が立ち並ぶ町の中は賑わっていた。

昼間から男たちがお酒を呑んで楽しそうにしている。

赤いスカートに白いエプロンを身に着けた少女がいた。

牛乳缶を持ちながら、酒盛り中の男性と楽しくお喋りをしている。

町に牛乳を買いに来て、その途中のこと。

町からだいぶ離れたところに少女の家はあった。

町場とは全然違った、貧しい質素な暮らしだった。

一緒に暮らしているおじいちゃんは寡黙な人。

いつも黙って藁を叩いたり、作業をしている。

私はいつも家事をしている。

今は、さっき買ってきた牛乳を沸かしている。

私の本当の家はここではなく、お城。

おじいちゃんは、元の使用人だった人。

お城では皆、綺麗な身なりをして、庭も建物も手入れが行き届いている。

でも私は、すごく居心地が悪い思いをしながら暮らしていた。

12歳のある日、この町外れに、親は私を置き去りにしていった。

私は三人姉妹の真ん中で、なかなかのおてんばだった。

おまけに自分だけ、家族の誰にも似ていない。

父も母も純粋なヨーロッパ人で、姉も妹もお父さんに似ている。

だけど、私だけが東洋人とのハーフのような顔立ちだった。

お母さんが違う人だったのかもしれない。

お姉ちゃんはいつも勉強をしている。

でも私は外で遊びたい。

中にいるより、外で庭師とお喋りしているほうがいい。

そうやってきまりを無視するから、親によく思われていなかった。

外で遊んで中に入ると、何か場違いな感じがしていた。

お姉ちゃんはおとなしくて、親に好かれている。

でも、私は親に嫌われている感じがする。

たくさん外で遊んで、服は汚れたまま。

その後、お父さんが仕事から帰ってきた。

嬉しくて「おかえりなさい」を言いに行った。

その後、お父さんが私を地下に連れて行った。

お母さんが、帰ってきたお父さんに私のことを告げ口する。

言われたことを真に受けたお父さんは、私を暗い地下室に閉じ込める。

急に閉じ込められるのは、初めてじゃない。

でも、私が何かしたのか

何がどうなってこうなったのか

私はどうしたらいいのか

全然わからない。

暗い地下室に一人立ち尽くす。

お姉ちゃんが心配して地下室の前に来てくれたけど、巻き込みたくない。

上にある鉄格子から、お姉ちゃんに聞こえるように言った。

「ここに来ないほうがいい」って。

そうしてその後、私は町外れに置き去りにされた。

これは、お仕置き。

両親とお姉ちゃんが、馬車に乗って立ち去って行く。

親は、置き去りにすることを私に悟られないようにしていたけど

私はお姉ちゃんの顔を見て気づいた。

お姉ちゃんは泣いているけど

親たちは振り向きもせず、薄笑いさえ浮かべていた。

すごく切ない。

苦しい。

悲しい。

そしてしばらくの間、おじいちゃんのところで暮らしたけど

またお城に戻された。

その後20歳になった頃、私はお城から逃げ出した。

島の端の何もないところ

裸足で走って走って、ひたすら走ってここに着いた。

元は赤い色だったであろうスカートは、汚れてくすんだ色になっている。

何も考えられない。

でも、ここまで来たら、もう大丈夫。

誰もいないところ、そしてここには誰も来ない。

そして、もうお城に戻ることはできない。

小さな掘っ立て小屋を見つけて、そこで雨風をしのいだ。

壁にもたれて座りながら思うのは

「多分、このまま死ぬんだな」ってこと。

自分が死ぬのは、わかってる。

そして、食べるものがないまま衰弱死した。

家族仲良く、お姉ちゃんとも、もっと笑って暮らしたかった。

窮屈な人生。

自分の意思で生きたかったし、もっと楽しく生きたかった。

私はすごくちっぽけだけど

もし生まれ変わったら次は、ちゃんと自分の意思で生きる。

「自分の意思で生きたい」と願い、それを実現させる。

何かに縛られる人生は、もうお終い。

だから、しっかり生き抜いてほしい。

今のまんまでいいし、心配することない。

気づいてくれて、嬉しい。

ありがとう。

***************

セッション後、クライアントさんからメールで頂いた感想です。

『着ている服が汚れている』のを急に思い出して

そしたら続けて、小学生くらいまでに感じた

『女の子らしいものに対するあきらめ』を思い出したんです。

いかにも女の子、て感じの子が羨ましかったし

キツい言い方をすれば目の敵にしていた感じもあったな~〜と思います。

だから、前世の私が感じたあらゆるものへの『あきらめ』を

今生にしっかりと持って来ていたのだな〜〜、というのと

前世退行したことで気付けて、今もこうして癒すことができたんだな、と思いました。

『結局縛っていたのは自分?』と思いました。

まだまだ自分の知らない自分がいますね〜〜(笑)

ごめんなさい、ありがとう、て気持ちももちろんあるけれど

自分を思い出すことにワクワクしますね。

そうなんです•̀.̫•́✧

自分を掘り下げるって、辛さもあるけど

「な~んだ、そういうことかぁ~~」

って、パチンとはまったときの感覚は、何にも代え難いもの。

これからもどうか楽しんで♪

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