※この物語はハイアーセルフセッションを元にしたフィクションです
家に帰っても居場所がないと思う。
奥さんや子どもが話している内容がまったくわからない。
家族で会話しても、自分だけ無視されているような気分になる。
会社では、人間関係の問題はないけれど
スケジュールに追われ、自分の仕事が滞っている。
人に囲まれているわりに、孤独。
妙な置いていかれている感。
真っ白な光の中、白い髪に白い服の若い男性がいる。
これがハイアーセルフ、顔は自分に似ている。
神々しい若い自分、という感じ。
そして、こう言った。
( ͡° ͜ʖ ͡°) ここにお前がいるよ
ハイアーが見せてくれたのは、動物園の猿山だった。
何十頭もいるサルの中に、自分らしきサルが確かにいる。
そのサルは、リンゴを大事そうに食べていた。
でも、隙を突いて他のサルがリンゴを横取りしていった。
俺サルは場所を変え、木の枝でブランコをする。
でも、横入りのサルが数頭「枝は俺のものだ」とばかりにやってきた。
一人で美味しく食べていたのに。
一人で楽しく遊んでいたのに。
こいつら、邪魔。
みんな、邪魔。
「リンゴを返せ」
「俺の遊び場、取るんじゃねえ」
「静かに日向ぼっこしたいのに、お前らうるせえよ」
それを言ったら、この群れに居られなくなる。
俺のしたいように言ったりやったりしたら
きっと、俺はみんなに嫌われる。
生まれたときからいるこの猿山。
お堀は深く、塀は高く。
頑張ってジャンプしても、ここからは出られない。
で、俺サル、一生懸命考えてる。
そうか、これ、完璧今の俺だ。
猿山に出口がないと思っていて
諦めたり、絶望したりしているんだ。
猿山を見下ろしている俺には飼育員の通用口が見えるけど
俺サル、ドアが見えねえのかな。
ああ、人間の通り道は自分には関係ないと思っているのか。
関係なくない、ドアだよドア。
そこから出られる。
俺サルのため、そっと通用口を開けてやった。
俺サルが気づくよう、細く開けたところにリンゴを置いて。
俺サル、リンゴに気づいてドアの隙間から出てきた。
ご名答。やっぱり俺、食いしん坊。
誰も追いかけてこないよう、通用口をしっかり閉めた。
俺サル見事、猿山から脱出。
俺サル、森の中をすごい勢いで走っている。
木から木へと飛び移り、気持ち良さそう。
家も、会社も、地元のコミュニティも、みんな猿山。
窮屈だったら猿山から出て、気分転換すればいい。
出られないと思っていた。
でも、誰も「出るな」とは言っていない。
自由でいることは自分には関係ない、って
自分を無視したり、禁止をかけていたのは、自分。
猿山には、いつだって戻れる。
そして、ちょっと出たくらいで誰も困りはしない。
( ͡° ͜ʖ ͡°) わかった?
うん、気分転換、確かに足りてない。
やったらみんなに嫌われるって、思い込んでいた。
( ͡° ͜ʖ ͡°) お前の周り、それなりのメンバーが揃っているよ。
俺、おいしい餃子を腹いっぱい食べたい。
今度の休みは、一人で宇都宮まで行ってこようかな。
( ͡° ͜ʖ ͡°) いいんじゃないかな
「ドアは自分の通るところじゃないし、自分には関係ない」
って思い込みに囚われていたの、わかった。
出口は、ずっと見えていたのにね。
ありがとう。俺、行ってくるね。