※この物語は前世退行セッションを元にしたフィクションです
子どもが部活でスタメンに選ばれたり選ばれなかったり。
今回は外れてしまった。
「少し休める」と安心する気持ちもあるけれど
今回はっきり思ったのは
「うちの子が選ばれなきゃ嫌だ」
「自分の思い通りにならないと嫌だ」
子どもに何を期待しているのかと思う。
フィールドに我が子がいてもいなくても
いつも心がざわざわして
楽しみたいのに、楽しめない。
広い和室の縁側から
手入れの行き届いた日本庭園が見える。
時代は古そう。
着物姿に髪を結い上げた十代後半の女性がいる。
アイドルのような美しい顔をしているけれど
むくれた「面白くない」という表情。
きれいな顔が台無し。
なんだか性格、悪そう。
外に出て町を歩くと
すれ違う男の人たちが皆振り向く。
私は美人だから。
振り向かれるのは気分がいい。
だから、いつも町中を散歩するように歩く。
商人の家に生まれ、比較的裕福。
父は娘の容姿を自慢に思い
「鼻が高い」といつも言っている。
ちやほやされるし、注目されるのは得。
美しいだけで皆が自分に良くしてくれる。
お殿さまが町を馬で通ることがある。
そういう日には、きれいな着物を着て家の前に立つ。
父は、お殿さまに私が気に入られることを望み
自分も選ばれたいと思っていた。
でも、選ばれなかった。
別な女性が選ばれ、嫁いだ。
せっかく父が良い着物を用意してくれたのに
失敗した自分、みっともない。
父の期待にもこたえられず、がっかりしている。
その後、別な商人の家に嫁いだけれど
「こんなところにいるはずじゃなかった」
と、いつも思っていた。
毎日憂鬱で面白くない。
何をしても満足しない。
腹立たしい。
歳をとり、病気で亡くなった。
たくさんの人に看取られたにも関わらず
「思い通りにいかなかった」
と思いながら息を引き取った。
少女の頃からの願いも叶わず
恵まれた環境に感謝することもなく
いつも機嫌が悪かった。
期待と自惚れに満ちた人生。
見た目や世間体、他人基準を重要視して
ただ大人しく、お行儀良く
言いたいことは言わず
にこにこして人の言う通りにしていれば
すべて思い通りになると思っていた。
「人なんて、ちょろいな」
「すべて私の思い通り」と
まんまと騙される人を見ては悦に入る。
でも、本命の人は騙されることはなく
何一つ、本当の願いが叶うことはなかった。
期待も自惚れも、もう手放そう。
自分も、家族も
他人に認めてもらうことを重要視したら
それは不幸。
人を騙すすべを持った自分に対して
うっすら後ろめたさも感じていた。
「自分、インチキ臭い」と。
そして
罪悪感から自分を認められずにいるわりには
「自分だけが特別」と自惚れていた。
自惚れから身勝手な妄想をして
思い描いた人生のシナリオに期待し
妄想に囚われ、怯え
期待通りにならなければ機嫌を損ね
それは、薄っぺらな生きかた。
期待、自惚れ、一度やってみてわかったことは
自分の存在意義をわざわざ見出そうとしなくても多分よかった
ということ。
選ばれようが、選ばれまいが
どんなときでも、ただの通過点にすぎない。
どうか、肩の力を抜いて
新しい人生を楽しんでほしい。