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  • 執筆者の写真カトウ

命の上に立つ



小雨の中、ごみを出しに行く


もわっとした空気の中

足元には、たくさんの小さなカタツムリ


歩道脇の草の中から

それはもう、わんさか出てくる


そういう時期なんだな



この足元のカタツムリに気が付いて

踏まぬよう、よけて通る人


世の中にどれだけいるんだろうか



みな、忙しい

通勤、通学、その他諸々


朝、8時半


歩道の上には見渡す限り

潰れてお亡くなりになったカタツムリ


毎年見る光景


もちろん、車道にもたくさんの亡骸

車を運転している人は気付きようがない



見過ごしてしまうほどのサイズ

それを見つけちゃう私は、暇人なのか


いや、そんなことない

けっこう忙しくしているよ


片目に障害があるから

人よりも視界は良好でない



人が、知らず知らずに奪う命


迷いなく食べる食事

食べている食材も全部、元々は命だし



悪意がなければ

カルマにもならないのかもしれない


でも「そういうことがある」と知る

大事なのは、そこなような気がしている



先日、近所の住宅地で

土が掘り起こされ、整地したところがあった


綺麗にならされた土の上

見たことのない鳥がたくさん歩いていた


エサを探すとかそういう動きではなく

途方に暮れたようにウロウロとしていた


おそらく、その鳥たちの巣は地面にあった

もしかしたら、卵や雛もいたのかもしれない



家が建つ、おめでたいこと

でも、破壊のうえ、成り立っていること



人は、常にいろんなものの優位に立っている


命を頂いて、命に変えて

命の上に立って生きている



気にして、引っかかることでもない

でも、ちゃんと知っておいたほうがいいこと



この、もわっとした空気には

カタツムリの腐敗臭も混じってる


香でも焚いて、弔うとしようか

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