※この物語は前世退行セッションを元にしたフィクションです。
人に言葉で伝えてやってもらうのが苦手。
職場では「自分でやったほうが早い」と思う。
人に期待し、求めすぎている。
結果、気を使い過ぎて、負担から疲れが出てしまう。
女の子が一人、光の空間に佇んでいた。
上からさす光に照らされ、じっと上を見つめている。
「光のさす方向に行ってみたい?」と声をかけると
女の子は「うん」と頷いた。
女の子は高校生、名前は『はな』
この子は、魂だけの状態で
長い間、光を見上げて過ごしていた。
光の元はとても高いところにあり
辿り着くと、そこは雲の上だった。
はなちゃんは、雲の上から地上を見下ろし
そして号泣し始めた。
下には、この子の住んでいた家があった。
古い昭和、家々と空き地、その中の一軒がはなちゃんの家。
家のリビングに、お父さんとお母さんが見える。
二人とも話もせず、暗い表情でただそこにいる。
そして、ただ苦しんでいた。
仏壇には、若い女の子の写真があった。
家を見下ろしながら、はなちゃんはこう言った。
みんな、バラバラになっちゃった。
悲しい。
家族と一緒にいたかった。
突然、死んだ。
私がいけなかった。
親に当たって、暴れて、外に飛び出した。
そして、事故にあった。
先があるって、思ってた。
そうなるつもりじゃなかった。
自分が、やんちゃをしていなければ。
あんなこと、言わなきゃよかった。
「私なんて、どうだっていいんじゃない!!」
「私がいなくなっても、死んでもいいんでしょ?!」
って、お父さんとお母さんに言っちゃった。
言葉で傷つけちゃった。
自分のせいでバラバラになったと思うと、苦しい。
そして、はなちゃんは、お父さんとお母さんに向かって
上から言葉を投げかけ始めた。
お父さん、お母さん、もう苦しまなくていいよ。
私に気を遣わなくても、私のことを考えなくてもいいから。
私のことも、もう忘れていいよ。
はなちゃんが亡くなって、両親の心はバラバラになってしまった。
そして皆、後悔を抱えたままでいた。
だから
「もう苦しまなくていいよ」と、声をかけてあげた。
はなちゃんは泣きやんだけど、まだ心配そうにしている。
この子はこの子で、よく頑張ってきた。
それに、元気一杯なことは、悪いことじゃない。
ちょっとやんちゃ。
思春期、反抗期。
親に反発して、ふらっと外に出て行ったりしていた子。
親も、思春期の子とどう関わったらいいのかわからず
手をつけられずにいて
追いかけるでもなく、声をかけるでもなく
コミュニケーションが得意じゃない、大人しい人たちだった。
飛び出す自分を、本当は親に引き止めてほしかったんだな。
そんな気持ちを抱えたまま、不慮の事故にあった。
親に対して期待があって
多分、もうちょっとかまってほしかった。
目に見える形で、そうしてほしかった。
愛情に飢えていた。
そんなことがあったんだ。
だから、はなちゃんにこう言った。
「心がバラバラになってしまったのは、あなただけのせいじゃない」
「どっちもどっちなんじゃないかな」
「一緒に幸せになろうね」
そう言ったら、はなちゃんは穏やかな表情で
「うんうん」
「次の人生、楽しんで」と言った。
この子の気持ちがわかる。
「こうしてほしかったのに」と反発してしまうところとか
自分の気持と繋がっている。
仕事、続けていけるかな。
苦しいこともあるけれど。
はなちゃんは、お友だちといるような感覚で、今はそばにいる。
「いつでも会おうね」
そう約束して、はなちゃんとお別れした。