※この物語は、サブパーソナリティセッションを元にしたフィクションです。
長い間、緊張が続いて疲れ果てた。
外にいても、家にいても、気の休まる場所がない。
緩みたいのに、緩まない。
もう、生きているのもイヤになった。
赤い絨毯敷きの、長い廊下が続いている。
しばらく歩いて行くと、ガチャガチャという音が聞こえてきた。
音のするほうに向かうと、木のドアがあった。
ドアを開けると、中は厨房。
パティシエのような格好の人たちが十数人、お菓子を作っている。
聞こえてきたのは、お菓子を作っている音だった。
「あなたたちは?」
声をかけると、全員がこちらを見て、きょとんとしている。
自分たちは、パティシエ部。
パティシエ部は、去年できた。
前もいたけど、しばらくの間、休業してた。
高校のとき、ダイエットしたでしょう?
ダイエットがきっかけで、パティシエ部は休業することになった。
あなたは、「スゥィーツは悪の食べ物」って言って
食べたい気持ちを制限して、食べなくなった。
そのとき、自分たちの仕事もストップした。
そのときの楽しみは、「痩せたい」と「好かれたい」
でもね、結局体調を崩して、鬱っぽくなっちゃったんだよ。
あなたは、本当は楽しく食べて、喜びたかった。
だけど、なんにも気にしないで、好きなように食べるのが怖かったんだ。
小さい頃は、我慢もせず、食べたいときに食べていた。
容姿も気にしていなかったし、そういうことは考えずに生活していたのにね。
今、食べてるときは、緊張していないでしょう?
食べてるときは、「美味しい」とか「幸せ」とか感じるけど、考えてはいないから。
要するに、考えてるか、考えてないかの違いなんだよ。
緊張は、食べることへの罪悪感からきているんだ。
今のあなたは、食べたいと思ったら食べていて
自分の気持に従っているから、パティシエ部は戻って来た。
仕事が久しぶりだから、みんな一生懸命、楽しく作ってるよ。
担当はいろいろ。
ムース、クッキー、和菓子
今は旬のスゥィーツ、レモンとかね。
緊張で困っているんでしょう?
緩むように、適度にお手伝いしますよ。
そのために、音楽をガンガンかけてね。
そうすると、良い職場環境になるから。
みんな、音楽が好きなんだよ。
食べたいものは食べて。
我慢に慣れているから、ついつい我慢するけど、好きなものは好きなんだよ。
自分が喜ぶものを、良いエネルギーの場所で味わって、癒やされてね。
そっか。
私は、食べることが好き。
好きだから、今は望むものを食べて、その力をもらっている。
カロリーがとか、糖分がどうとか、前は踊らされてたもんな。
自信がなさ過ぎて、見た目とか、容姿を気にしていた。
自分に価値を見い出せなかった。
そして、「ダイエットなら自分でも頑張れる」って、手を出した。
だから、食べるのが怖かった。
踊らされる生きかたを選んで、良しとしていた。
最近は、「好きなものを楽しんで食べよう」って思って食べて
そうしているうちに、怖さが減ってきた。
「踊らされるんじゃなく、自分で踊る」
最近、そういう生きかたに、ちょっとずつ変わってきた。
今は、食べている数分間は幸せ。
「昔、こうやって楽しんで食べてたな」
「私、やっぱり食べるのが好きなんだな」って思う。
今は、「何かやったら自分へのご褒美に」って、食べているけど
そういう感じじゃなくて、もっと自然に食べられたらいいな。
頑張って、「よしっ!」って、肩に力が入った感じじゃなく…
さらっと素敵なお店に入ってお茶する、みたいな感じで。
それができたら、気分はサイコー。
きっと幸せだし、安心感もある。
焦りもなく、楽で、力の抜けた自分でいられるかもしれないな。
パティシエ部の方々、これからもよろしくね。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
不調の原因は人それぞれ、様々あり
今回のものは、見た目を気にして始めた過去のダイエットがきっかけで
「自分が悪い」と、決めつけてしまった日から始まったこと。
自責が積もり積もって、『緊張』に姿を変えていました。
多くの人が持っている、罪悪感。
自分は悪くないのに、なんか悪いって思っちゃう…
本当に、悪い???
深い部分に聞いてみたら、「そんなことはない」とわかったりします。
実は、本音は真逆かも。
好きなものは、好き。
食べ過ぎさえ気をつければ、たまには…ネー♪
好きなものがあるって、幸せなこと。
どうか、良い場で良い食べ物を味わう、素敵な時間を過ごせますように♡